施設のエアコンの仕様を決めたり、そのエアコンを動かすための動力の計算をしたりと、それまでに経験したことのない業務に携わることになり、日々どうしようか悩む時間が増えていたところ、エネルギー管理士という国家資格があることを知りました。国家資格の取得を目指すことで、日々感じていたストレスをモチベーションに転換できれば良いと考え、取り組むことに致しました。
エネルギー管理士試験とは
エネルギー管理士試験とは、一般財団法人省エネルギーセンター(ECCJ)が年に一度開催する試験であり、熱分野と電気分野の2分野があります。私は航空宇宙工学分野の出身でもあり、流体力学や熱力学に多少知見があったので、熱分野を勉強することに致しました。
熱分野も電気分野も4課目からなる試験で、いずれも課目も60%の得点率で合格となります。合格率でいえば、熱分野の方が少し高めとなっているようです。
エネルギー管理士 (熱分野) 試験課目
課目Ⅰ:エネルギー総合管理及び法規
この課目Ⅰは熱分野、電気分野で共通の課目になります。エネルギーの使用に係る法律や情勢についてや関連する基礎技術に係る内容が出題されます。法律や情勢については、覚えなければならないことが多いですが、基礎技術に関しては機械系の学科を卒業した方なら、学習しなくともある程度の点数は取れるような内容であったと思います。
課目Ⅱ:熱と流体の流れの基礎
熱力学の基礎、流体工学の基礎、伝熱工学の基礎が問われます。どれも基礎的な事項であると感じました。熱力学の基礎では、第一法則、第二法則、理想気体の状態変化、熱機関の各種サイクルが問われる印象があります。流体工学の基礎では、質量保存則、エネルギー保存則、運動量保存則をベースとした問いが中心であったと思います。伝熱工学の基礎は、伝導・対流・放射の3要素の基本を把握しておく必要があるかと思います。いずれも、機械系の学部の1, 2年生の時に学ぶような基礎的な内容であると思います。
課目Ⅲ:燃料と燃焼
内容としては、燃料に関することや燃焼方法に関すること、燃焼するための装置のことなどが問われます。また、燃焼の際に必要な空気の量や発熱量を計算する問題が含まれます。化学的な内容が中心であるような印象を受けました。課目Ⅲに関しては、各種燃料の特性や燃焼方法、燃焼装置などを暗記する必要があり、課目Ⅰ、Ⅱと比べると時間を割いて勉強をした記憶があります。計算問題もパターンを見出して練習したように思います。
課目Ⅳ:熱利用設備及びその管理
各課目の参考書を買うと、課目Ⅳだけ非常に分厚いのですが、課目Ⅳでは必須問題と選択問題があるので、事前に選択問題を決めておけば、勉強範囲を絞ることは可能です。「計測および制御」の分野からの2問と、「ボイラ、蒸気輸送・貯蔵装置、蒸気原動機・内燃機関、ガスタービン」の分野からの2問が必須問題となります。残りは「熱交換器・熱回収装置」、「冷凍・空気調和設備」、「工業炉、熱設備材料」、「蒸留・蒸発・濃縮装置、乾燥装置、乾留・ガス化装置」の4分野から2問を選択することになります。わたしは業務との関連性から「熱交換器・熱回収装置」、「冷凍・空気調和設備」の2問を予め選択することを決めておいて、残りの分野の学習は断念しました。
勉強方法
ありきたりではありますが、過去問を中心に勉強しました。参考書としては、協会が出している「エネルギー管理士試験講座」を四課目分購入して通読しました。一周読んだ後は、過去問でわからないところを参考書で確認するというような使い方をしました。試験としては、一問一問の難易度はそれほど難しいとは思いませんが、範囲が広いので、たとえつまずいてもひとまず気にせず、幅広く学習するように心がけました。
結果発表
あまり計画的に学習できず、最後は詰め込みで試験に臨んでしまいましたが、結果は無事に合格してました。
短期間で覚えたことは短期間で忘れるものなので、定期的に振り返って知識が風化しないように留意していこうと思ってます。
コメント