著者:W・チャン・キム、レネ・モボルニュ
訳者:有賀裕子
出版社:武田ランダムハウスジャパン
はじめに
『ブルーオーシャン戦略』は、私が海外で働くようになってから、読み返すたびに意味が深まる一冊です。 日本で技術者としてキャリアを始めた頃は、「競争しない戦略」という言葉が新鮮で、理論として理解したつもりになっていました。しかし、海外で事業を運営し、異なる文化・規制・産業構造の中で意思決定を行うようになった今、この本の内容がより実務的な重みを持って迫ってきます。
そして読み返すたびに思うのは、私自身のキャリアも、意識的にブルーオーシャンを選び続けてきたのではないかということです。
ブルーオーシャン戦略とは何か
ルーオーシャン戦略は、既存市場(レッドオーシャン)で競争するのではなく、 競争のない新しい価値領域=ブルーオーシャンを創り出す戦略です。
その中心にあるのが「価値革新(Value Innovation)」と「戦略キャンバス」。 既存の競争軸を捨て、顧客価値を再定義し、他社が追随できない独自のポジションを築くことが求められます。
海外で働いていると、国や文化の違いによって競争軸そのものが変わるため、 「既存の競争に合わせる」ことがむしろ非効率になる場面が多くあります。 その意味で、ブルーオーシャン戦略は国際的なキャリアにおいて非常に実践的な考え方だと感じています。
私のキャリアとブルーオーシャン戦略
振り返ると、私のキャリアは常に「競争の少ない領域」を選び続けてきました。
● 技術者としての基盤
日本でシステム工学などの高度な技術領域を深めてきました。 この時点で、すでに希少性の高い専門領域を選んでいたのだと思います。
● 海外大学院での学び
海外で技術経営工学修士を取得。 技術 × 経営 × 国際経験という組み合わせは、当時はまだ少数派でした。 既存の競争軸から距離を置き、自分だけの価値領域を広げていった感覚があります。
● 海外での事業運営
現在は海外で事業を率いています。 海外でAIガバナンスなどの国際規制を本格的に推進するケースは多くないように感じています。 ここでも、自然とブルーオーシャンに身を置いていることに気づきます。
● 今後のキャリア設計
国際機関での政策領域、大学での研究・教育。 これらを組み合わせることで、誰とも競争しない独自のキャリア領域を形成しようと考えています。
読み返して気づいた「ブルーオーシャンの本質」
海外での経験を重ねるほど、ブルーオーシャン戦略の本質は単なる「競争しないこと」ではなく、 自分の価値を再定義し、誰も歩いていない道を自分で作ることだと感じるようになりました。
本書の中で特に印象的なのは、 「ブルーオーシャンは探すものではなく、創るものである」 という考え方です。
キャリアも同じで、 「どこにブルーオーシャンがあるか」ではなく、 「自分がブルーオーシャンを作れる領域はどこか」 を考えることが重要だと痛感しています。
実務でどう活きているか
海外での事業運営では、ブルーオーシャン戦略の考え方が日常的に役立っています。
- 既存の競争軸に合わせず、独自の価値提案を設計する
- 技術・規制・文化の違いを活かし、他社が真似できないポジションを築く
- まだ成熟していない領域で先行して取り組む
- 組織の強みを再定義し、価値革新につながるプロジェクトを選ぶ
特に、国際規制の領域はまだレッドオーシャン化していないため、 ブルーオーシャン戦略の実践に非常に向いています。
どんな人におすすめか
- キャリアの方向性を模索している若手
- 技術者として差別化したい人
- 海外で働きたい人
- 経営と技術を統合したい人
- 組織の競争軸を再定義したい管理職
ブルーオーシャン戦略は、単なる戦略書ではなく、 「自分の価値をどう創るか」を考えるための一冊です。
最後に
海外での経験を重ねるほど、ブルーオーシャン戦略の重要性を実感します。 そして、私自身のキャリアもまた、ブルーオーシャンを創り続ける旅なのだと思います。
私自身、さらに新しい領域へ踏み出していく中で、 この本は今後も私の指針であり続けるはずです。


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